ある人は1段も階段を上らずにこの世を去っていった。
大昔の日本ではそれは頻繁であった。
高度に医療が発達した現代ではそれは稀である。
大体の人は80段まで階段を登る。
本当に険しい階段である。
そんな中である人は20段で終わってしまった。
人々はたいそう悲しみ絶望した。
「一番楽しい時期にかわいそうに」と。
しかし本人は嬉しそうにしている。
「またすぐに1から階段を登り始める」と。
他方では大台の80段をクリアしても尚こう言うものもいる
「120段まで上るぞ」と。
その人にある人はこう尋ねた。
「何のためにですか?」と。
老人は答えることが出来なかった。
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