中小企業では、経営者の個性やカリスマ性が会社の成長に大きな影響を与えることが多く、会社の命運はその経営者の人格や信念次第で大きく左右されます。多くの中小企業では、大企業のような整ったシステムや層の厚い人材が揃っているわけではありません。そのため、経営者一人ひとりの魅力や決断力が直接的に従業員や顧客に影響を及ぼし、経営においては合理性だけでなく、人間的な魅力が大切な要素となるのです。中小企業の経営者には、時には癖が強い人物もいますが、その独自の視点や強い信念が企業の成長や繁栄を支えることも少なくありません。むしろ、大企業のような合理性や統計に基づいた判断だけではなく、経営者のカリスマ性がビジネスの成否を左右することが多いのです。
さらに規模が縮小し、零細の同族企業ともなれば、経営における要素はまた異なります。同族経営では、血縁による関係がビジネスの基盤になるため、人間関係の複雑さが一層深まります。たとえ家族や親戚であっても、経営の方向性に対する考え方が一致しないことは多々あります。家族の仲が良くて意見が一致する場合は問題ありませんが、常にそうとは限りません。また、仮に家族内で仲が良くても、経営に必要な創造力や革新性が欠けていれば、ただ生き残っているだけの「ゾンビ企業」になりかねません。つまり、同族経営の成否は家族の仲や一致団結する意識だけでは支えられないのです。
同族経営の成長を支える重要な要素は、実は「信仰心」にあることも多いのです。ここでいう信仰心とは、必ずしも宗教的な信仰に限らず、神仏や先祖への感謝や敬意、家族全体が共有する精神的な価値観のことを指します。こうした価値観が家族内で共有されていることで、同族企業は難しい時期を乗り越えやすくなり、互いの信頼感を育むことができるのではないでしょうか。
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